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「骨の中に完全に埋まっていると言われた」
そう告げられた瞬間、多くの患者さんが頭の中で最悪のシナリオを描きます。「大学病院に行かなければいけないのか」「全身麻酔が必要なのか」「いったいいくらかかるのか」……。
不安が重なるのは当然です。完全埋伏の横向き親知らずは、確かに難症例に分類されます。しかし、適切な専門医のもとであれば、初診当日に抜歯できるケースも少なくありません。
この記事では、口腔外科医の立場から、完全に骨の中に埋まった横向き親知らずの実態・抜歯方法・リスク・費用まで、患者さんが本当に知りたい情報を丁寧にお伝えします。
東京新橋歯科口腔外科|東京・新橋
骨の中に埋まった横向き親知らずについて、口腔外科医がご相談を承ります。
月〜日 10:00〜13:00 / 14:00〜17:00(年中無休)
まず、言葉の整理から始めましょう。
親知らずが「完全に骨の中に埋まっている」状態を、歯科では「完全埋伏智歯(かんぜんまいふくちし)」と呼びます。歯冠も歯根も、すべて顎の骨と歯肉の内側に収まっており、口の中を見ただけでは確認できません。レントゲンやCT撮影で初めてその存在が明らかになります。
さらにその中でも、歯が横向きに倒れた状態で埋まっているものを「水平埋伏智歯(すいへいまいふくちし)」と言います。これが最も抜歯の難易度が高いとされるタイプです。
現代人の顎は、食生活の変化によって小さくなる傾向があります。一方、歯のサイズはほとんど変わっていません。親知らずが萌出しようとしても十分なスペースがなく、手前の第二大臼歯に行く手を阻まれて、横に倒れたまま骨の中に留まってしまうのです。
水平埋伏は、上顎よりも下顎に多く見られます。下顎の骨は密度が高く、親知らずが深部に埋まりやすい構造をしているためです。

「完全に埋まっているなら、外に出てこないから問題ないのでは?」と思う方も多いです。確かに、完全に骨の中に埋まっていて細菌感染の可能性がなく、隣の歯への悪影響もない場合は、経過観察で構いません。
しかし、以下のような状況では抜歯が推奨されます。
特に歯根吸収は要注意です。横向きの親知らずが長期間にわたって第二大臼歯の根を圧迫し続けると、根が溶けて短くなります。これは元に戻せないため、定期的なレントゲン検査で早期発見することが重要です。
完全埋伏の横向き親知らずを抜くには、通常の抜歯とは全く異なる外科的手技が必要です。
手順を順を追って説明します。
教科書的な手技では切開を大きく取り、骨を広範囲に削ることで視野を確保します。しかし、この方法は侵襲が大きく、術後の腫れや痛みが強くなりがちです。経験豊富な口腔外科医は、最小限の切開と骨削除で確実に抜歯する技術を持っています。

完全埋伏の水平埋伏智歯の場合、抜歯そのものには30分〜1時間程度かかることが多いです。骨が硬い場合や、歯の根の形が複雑な場合はさらに時間がかかることもあります。麻酔の待機時間を含めると、来院から退院まで1時間半〜2時間程度を見ておくとよいでしょう。
「今日、抜いてもらえますか?」
この質問を、外来で毎日のように受けます。
結論から言えば、歯ぐきに炎症(智歯周囲炎)がない場合、そして全身麻酔が必要なケースでなければ、完全埋伏の横向き親知らずでも初診当日の抜歯が可能です。
下顎の親知らずの周囲には、下歯槽神経血管束という重要な神経と血管が走っています。上顎の場合は上顎洞(副鼻腔)が近くにあります。通常のパノラマX線だけでは立体的な位置関係を把握しきれないため、神経に近いケースでは歯科用CTによる3次元的な確認が不可欠です。
CTで神経との位置関係を正確に把握することで、安全な抜歯計画を立てることができます。これは当日抜歯の可否を判断するうえでも重要なステップです。
難症例の抜歯だからこそ、術後のリスクについて正直にお伝えします。
完全埋伏の横向き親知らずを抜いた後は、以下の症状が一般的に見られます。
下唇の知覚異常(しびれ)は、下顎の難症例で最も注意が必要な合併症です。下歯槽神経が親知らずの根に非常に近い場合、術後に下唇や顎のしびれが生じることがあります。多くの場合は数ヶ月で改善しますが、まれに長期化することもあります。
また、ドライソケットも注意が必要です。抜歯後の穴に形成された血の塊(血餅)が脱落すると、骨が露出して強い痛みが続きます。抜歯後1週間はぶくぶくうがいを避け、傷口を指や舌で触らないことが大切です。
術後の感染予防として、コラーゲンスポンジを傷口に挿入する方法があります。粘膜形成と骨形成に有効と報告されており、傷の早期治癒を促す効果が期待できます。

全身麻酔での親知らず抜歯は、大学病院や総合病院の歯科口腔外科で行われます。
全身麻酔ほどではないが、局所麻酔だけでは不安という方には「静脈内鎮静法」という選択肢があります。点滴で鎮静薬を投与し、ウトウトとした半意識状態で抜歯を行う方法です。完全に意識を失うわけではなく、入院も不要なことが多いです。ただし、この方法は自費診療となります。
全身麻酔の場合は通常2泊3日程度の入院が必要です。術前には血液検査・心電図・胸部X線などの術前検査も行われます。詳細は各医療機関にお問い合わせください。
難症例の親知らず抜歯の対応内容・費用は、こちらからご確認いただけます。
費用は多くの患者さんが最も気になるポイントです。
親知らずの抜歯は、症状がある場合(痛み・腫れ・むし歯・隣の歯への影響など)は保険診療の対象となります。3割負担の場合の目安は以下の通りです。
これに加えて、初診料(500〜1,000円程度)、レントゲン費用(約1,200円程度)、CT撮影費用(約3,500円程度)、痛み止め・抗生物質などの薬代(約1,500円程度)が別途かかります。
矯正治療を目的とした予防的な抜歯や、静脈内鎮静法・全身麻酔を使用した抜歯は、自費診療となることがあります。静脈内鎮静法の費用は医療機関によって異なりますが、鎮静薬の費用として別途かかることが一般的です。詳細は各医療機関の公式サイトでご確認ください。
同日に2本抜歯する場合、診察料やレントゲン費用が1回分で済むため、総額を抑えられる場合があります。ただし、身体的な負担も大きくなるため、担当医とよく相談することが大切です。

「どこで抜いてもらえばいいのか」
これが、最終的に多くの患者さんが悩む問いです。
親知らずの抜歯は歯科医師であれば誰でも行えますが、完全埋伏の水平埋伏智歯は、口腔外科の専門的なトレーニングを積んだ医師でなければ安全に対応するのが難しい症例です。
東京新橋歯科口腔外科は、親知らず抜歯に特化した専門クリニックです。一般診療の傍らで抜歯を行う医院とは異なり、親知らずの抜歯をメインとして診療しています。在籍するドクターは口腔外科や専門講習でトレーニングを積んでおり、難症例にも対応できる体制を整えています。
「痛みが怖くて抜歯を先延ばしにしている」という方は非常に多いです。当院では、まず表面麻酔で注射の痛みを最小限に抑え、その後の注射麻酔が最も効果を発揮する10分間を必ず待ってから抜歯を開始します。これはエビデンスに基づいた確実な麻酔手法であり、「麻酔が効いていないのに始められた」という事態を防ぎます。
教科書通りの大きな切開は、術後の腫れや痛みを大きくする原因になります。当院では最小の切開と侵襲を極力抑えた手技を徹底し、術後の腫れ・痛み・出血を最小限に抑えるよう努めています。治療時間が短ければ、抜歯後の回復も早くなります。
通常のパノラマX線と歯科用CTを併用することで、親知らずと神経・血管・上顎洞との位置関係を立体的に把握します。見えないものは安全に扱えません。画像診査の徹底が、難症例における安全性の基盤です。
診察は、親知らずを診る前にまず患者さんの気持ちを把握することから始まります。外科は技術だけではありません。人と人、心と心のつながりを大切にする姿勢が、安心できる治療につながります。
完全に骨の中に埋まった横向き親知らずは、確かに難症例です。しかし、適切な専門医のもとで適切な診査・診断を受ければ、多くの場合は初診当日に安全に抜歯できます。
大切なのは、放置しないことです。症状がなくても、隣の歯への影響や嚢胞形成など、気づかないうちに問題が進行していることがあります。定期的なレントゲン検査で状態を把握し、必要なタイミングで適切な処置を受けることが、最善の選択です。
費用については、症状がある場合は保険診療が適用され、3割負担で数千円から対応できます。CT撮影や薬代を含めても、一般的な範囲内に収まることがほとんどです。
「自分の親知らずはどんな状態なのか」「抜いた方がいいのか」——まずは専門医に診てもらうことから始めてみてください。
東京新橋歯科口腔外科では、初診当日のカウンセリングから抜歯まで、一貫して患者さんに寄り添った対応をしています。新橋駅から徒歩5分、土日も診療しています。難症例の親知らずでお悩みの方は、ぜひ一度ご相談ください。
東京新橋歯科口腔外科 親知らず抜歯の詳細はこちらからご確認いただけます。初診当日の抜歯にも対応しており、Web予約・LINE予約でスムーズにご来院いただけます。
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勤務医
平井 秀明